2010年5月4日

「ゆきの会」 - お座敷唄と三味線と











 なぜか三味線演奏の舞台で笑顔が漏れるとは想像していなかった。

 数年前には三味線でロックを演奏する若いアーティストが話題になってはいたけれど、それはやはり異端的なもので本来は敷居が高く、厳かにただ聴いて楽しむというイメージだった。
しかしお座敷唄とは酒の席で生まれたのもだそうで、畳の上で仲間と美しい芸妓達と酒を酌み交わし、歌い、果てには踊りだしてしまったであろうその光景を想像してみれば「お座敷唄」の楽しみ方を理解するのは容易だ。























もちろん三味線が演奏される舞台には様々なものがあり、純邦楽の世界で厳格さが要求されてるのは事実で50代でも若手と呼ばれることは少なくないとか。たしかに、伝統や文化を重んじ継承していく上で規律・戒律は大切。お座敷唄が宴の演だといっても、それを楽しむにはマナーもなくてはならない。
しかしその形式や立て前ばかりに固執して「楽しむ」心を失ってしまっては元もこもないはず。
「楽しめなきゃ意味がない」
そう、楽しみたい。楽しませたい。その想いには敷居なんていらないのだ。






お座敷唄とは
長唄端唄小唄上方歌など、三味線の伴奏で歌われる俗曲。歌舞伎のなかの舞踊曲や、清元などを起源として、文化・文政(1803 - 1830)のころから盛んになったといわれている。芸妓や遊女がお座敷で歌ったほか、庶民の間にも流行した。(Wikipedia







『ゆきの会』 2月の風の強い日に銀座の小さな劇場にて

 「古典を知らない人にも楽しんでもらいたい」という想いで催された『ゆきの会』は超満員。
手拍子をしながら「この唄が好きなんだ」と嬉しそうに口ずさんでいる方も多く見られた。唄の合間に話す普乃さんのトークも楽しく、トーク中お茶をこぼしてしまった普乃さんに最前席の男性がハンカチをさし出すほっこりハプニングも。
人は変われど、人の想いは変わらず。小唄などは昔も今も変わらぬ恋心や日常のなんてことない情景を唄ったものがほとんど。粋な比喩と繰り返されるかけ声で歌われる唄は一度聴いて歌詞を理解すると、それまでとはうってかわって身近なものになり、ふいに口ずさんでしまう。


『ゆきの会』
三味線で活躍している山本普乃さんと弟子こうの紫さんの2人によるお座敷唄



山本普乃  Yukino Yamamoto
細棹三味線を主とし、お座敷唄や長唄等の古典曲から現代・オリジナル曲等、
ジャンルにとらわれない幅広い演奏と作曲活動をし独自のスタイルで三味線音楽を
開拓している
映画『舞妓Haaaan!!!』やTVドラマ等にも出演

こうの紫  Yukari Kono
北海道札幌市出身、中学より三味線・長唄を始める
女三味線弾き「ねのいろ」メンバーとして活躍する一方、画家としても活動
個展、グループ展に多数参加している







第二回 『ゆきの会』


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